Rover Crew, 5th Setagaya

Rover Scout's Essays

Dec. 2017:カナダでの半年間を終えてみて

カナダでの生活を始めて半年が過ぎました。この半年間は、私の18年間の人生で最も刺激と驚きに溢れていました。

様々なことがありましたが、今回は心に残ったエピソードを2つ、紹介したいと思います。

1つ目は、私がバスに乗って出かけたときの話です。

ある時、そのバスのドライバーがバスを道の端に停めて、スタバでコーヒーを買って戻ってきました。日本でやったらクレームになりそうな事ですが、一緒に乗っていた人に聞いたところ、ラッシュアワー以外の時間であれば誰も気にしないと言われ、私は大変驚かされました。 

日本では2017年4月に「(消防士が)消防車でうどんを食べに来ている」というクレームが話題になりました。もちろん活動時間外でのことです。

そのようなクレームが適切なのかどうか、そして内容の適切/不適切に関わらずクレームに対応せざるを得ない日本社会自体について、「モンスタークレーマー」というキーワードのもとで盛んに議論されました。

そんなモンスタークレーマー問題に悩まされている日本と、勤務時間中にドライバーがバスを降りてコーヒーを買ってきても誰も気にしないカナダ。ずいぶん風景が違うなぁ、と思いました。

2つ目は、学校での授業の様子です。

ある日、学校の授業中に先生と我々生徒がお菓子を食べながら休憩をしました。しかも後で分かったことですが、このようなことは珍しくないのです。日本の学校では考えられないことなので、最初のころは驚きました。

私が通っているカナダの学校では、先生と生徒とが互いを名前で呼び合うほど仲が良く、たまに生徒がお菓子を作ってくると、授業を中断して皆でそのお菓子を食べながら雑談するのです。

日本では、先生と生徒の間の上下関係が教育現場の前提となっており、しかし最近その上下関係が無効になりつつある(つまり先生が生徒からなめられる)ことで「学級崩壊」が社会問題化しています。

カナダの学校に通っていると、上下関係という教育現場の前提自体が単なるフィクションに過ぎない、ということに気づかされます。どのようなあり方がベストなのかは僕には分かりませんが、学級崩壊は要はコミュニケーションの問題であり、このような問題に対しては様々な見方をすることが大事だと感じました。

以上に紹介したような経験を通して、私の内面も半年間でだいぶ変わりました。

まず、些細なことでイライラすることが無くなりました。1つ目のエピソードで書いたように、カナディアンはいい意味でマイペースな人が多いので、何か問題が発生しても大抵のことは笑って済ませてくれます。sorryなどと言うと、日本人は謝りすぎだよと言われるくらいです。

また、日本に住んでいたころよりも社交的になれたと思います。2つ目のエピソードで書いたように、カナディアンはとてもフランクなので、私もコミュニケーションに対して積極的になれるのです。カナディアンの友達が色々なパーティに連れて行ってくれたおかげでもあります。

まだ半年のカナダ生活ですが、その経験はすでに私の一部を形作っています。

他方、これまでの私の人生経験も、カナダ生活に影響を与えています。

この前近所の人たちでバーベキューをしました。その時火をおこすのを手伝ったのですが、手際がいいと褒められたのです。これはもちろん、ボーイスカウト経験が私にあったおかげです。

よく考えてみると、おおらかで上下関係の弱い教育現場という特徴は、異論は大いにあると思いますが、ボーイスカウトと似ているのかもしれません。

私はこれからも、カナダだけではなく様々な国に行き、その国でしか学べないものの見方を吸収していきたい。そしてそれを私の周りの人々に発信していきたいと思っています。

ローバー隊 笈田弓生