Rover Crew, 5th Setagaya

Rover Scout's Essays

Oct. 2020:カントリーデー企画・計画

今年の3月だか4月だか、ローバー隊議長に任命されたその時から、ずっと嫌な予感がしていた。昨年に続いてローバー隊にカントリーデーの企画が任せられ、その責任者に自分が任命されるという予感だ。

嫌な予感はたいてい的中する。そういうのを、ひねたビジネスマンは「マーフィーの法則」と言うらしい。

みんな大好きWikipediaによると、マーフィーの法則とは次のようなものだ。

  • 基本精神:"If it can happen, it will happen."(起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる)
  • 基本的表現:"Anything that can go wrong will go wrong."(うまく行かなくなり得るものは何でも、うまく行かなくなる)
  • 有名な具体例:"The chance of the bread falling with the buttered side down is directly proportional to the cost of the carpet."(落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する)

…果たしてマーフィーの法則は正しかった。

企画を考え始めた時は、昨年と同じように「ゴミ拾い&チェックポイントでのゲーム」と「今年の各隊活動の記録映像上映会」の2部構成を採用すれば楽できると思っていた。ただその時には既に、新型コロナウイルスが社会を変えつつあった

東京オリンピックを延期に追い込んだコロナである。当初のカントリーデー企画も(1)ゴミを拾い集める行為そのもののリスクが高まり、(2)室内に大人数で集まることも難しくなった。マーフィーの法則の基本精神が教える通りである。

となると、代わりの案を考えなければならない。Zoomを使ったオンライン会議を行い、ローバースカウトで様々な案を出し合った。それを持って月例の隊集会(and勉強会)に出席したところ、渡口隊長からまた違う案も出てきて、それらをまとめ切るのが大変だった。

最終的に我々は、すごろくゲームと水鉄砲ゲームをやることに決めた

7月25日、カントリーデー本番6週間前の土曜日、団会議に出席し、次の団会議までにカントリーデーの計画書を作成することを約束した

この時点では、野毛公園に全体集合した後、多摩川まで移動することにしていた。しかしこれではタイムスケジュールが厳しいと分かったため、より早い時間に直接多摩川へ全体集合することにした。当日の時間のイメージが甘かったのだ。

加えて、各隊にどこまでお願いして良いのか、どれくらい朝早い時間まで集合時間として良いのか、その感覚が無いため特にビーバーやカブに遠慮していたところもあったと思う。

この日までの準備も色々と大変だったが、それはまだ企画段階にすぎなかった。企画は「何をやりたいか」を考えるが、それに続いて「やりたいことをどう実現するか」を考える計画段階がある。計画書にはその具体的な中身を書かなければならない。先月の2020年さくら9月号で横山団委員長が書いておられた「段取り」の重要性が増してくるのだ。

本当の困難はここからだった

8月15日、カントリーデー本番3週間前の土曜日、団会議に持ち込んだ計画書は未完成だった。考えなければならない要素が多く、情報処理が追いつかなかった。必要備品やゲームの詳細、当日のスタッフの動きなどが詰められていなかった。

例えば、予算のことを聞かれてざっくり1万円と答えたが、もう少し精度が必要だった。すごろくゲームで使うサイコロは大きい方が絶対に盛り上がるので妥協しない。他方、水鉄砲は安いもので問題ない。サイコロは1個だが水鉄砲は人数分必要なので、サイコロにお金をかけた方が費用対効果も高い。このような判断が大切だと学んだ。

とは言え、この日も質問がそれほどたくさん出たわけではなく、正直ホッとしていた。次回のZoomを使った直前説明会までに細かいところまで具体的に検討して、報告することになった。

そしてそれからの2週間、計画書を仕上げるのに苦しんだ。2つのゲームのルール詳細や、当日のスタッフ及び時間の流れを細かく決めることが非常に面倒で大変だった。

普段は自分ひとりの行動を計画するか、多くても数人の仲間の行動を計画するくらいしか経験しない。しかし今回は年上のリーダーを多数含む50人超の行動を計画しなければならない。事態はずっと複雑で責任も重い。

この計画書が無ければ、各隊やスタッフは当日うまく動けない。「リーダーは、自分あるいは自隊はどう動けば良いのか? という観点でこの計画書を読む。だからそれに答えるように、読み手の立場を想像して必要な情報を計画書に書かなければならない」ということを学んだ。

いや、そのことは聞いて知ってはいた。しかしそれを計画書上で実践するのが困難だったのだ。

8月30日、カントリーデー本番1週間前の日曜日、カントリーデー当日のリハーサルを行った。すごろくゲームのマスの作り方や水鉄砲ゲームのフィールドを確認した。ポイを頭につけて実際に水鉄砲で撃ち合うこともした。書類を作るよりも、現地で実際に動く方が遥かに気楽だ。

このリハーサルで確認した内容と、この日までになんとか形にした計画書を持って、夜の直前説明会に臨んだ。苦労の甲斐あってか、このイベントの目的と手段を各隊隊長にきちんと伝えられたように思う。すごろくゲームのマスの作製や水鉄砲ゲームの審判に必要な人数を説明し、各隊から出してもらうリーダーの数を調整できた。

ここにきて、カントリーデー成功の予感が増してきた。

次の日からカントリーデーに必要な物を集め始めた。

中でも調達するのが難しかったのは水鉄砲である。8月が終わり、水鉄砲の需要が落ちていたのだ。ダイソーやキャンドゥなどの100円ショップから水鉄砲は消えていた。近所の個人営業の100円ショップに大量に残っていて事なきを得たが、危ないところだった。今後の教訓としたい。

9月6日、カントリーデー当日の日曜日、我々の準備は万全だった。当日わたしは朝5:45に起床した。車に備品を積もうとしていた時、横山団委員長から連絡がきた。

カントリーデー中止

前日からの雨が続く可能性が高く、仮に本番の時間帯にやんだとしても地面がぬかるんで実施は難しいという判断だった。ここまで頑張って企画・計画し、あとは実行するだけだったのがあえなく中止。無念であった。いくら準備をしても、天候はどうしようもない。

マーフィーの法則の有名な具体例が教える通りである。

「カントリーデー当日に雨が降る確率は、準備にかけた努力に比例する」

結局最後まで、マーフィーの法則は正かった…。

…なんてことはないのである。何がマーフィーの法則か!

我々ボーイスカウトのモットーは"Be prepared."(そなえよつねに)である。マーフィーの法則ごときで揺らぐようなものではない。

カントリーデー担当になって企画会議を行い、計画書を苦労して作成し、様々な準備を重ね、当日雨で中止になり、この「さくら」原稿を通して振り返る。これら全部の経験が、未来への「そなえ」になるのだ。それはボーイスカウトに限らず、きっと数年後に私が働きだした時にも、「限られた期間でより良い計画を考える能力」として役立つに違いない。

ビジネスマンになった私は、きっとマーフィーの法則よりも「そなえよつねに」を心に抱いているだろう。

最後に、計画に協力して頂いた渡口隊長、神田さん、清水さん、小針くん、堀江さん、山根さん、松谷さんに感謝したい。

どうもありがとうございました。

そしてスカウトのみんな、今回は中止になってしまったが、この計画はいつでも「発動」できる状態にある。実施できる日を楽しみに待っていてほしい。

ローバー隊 保科玄樹